「何度叱っても友達を叩いてしまう」子へ親がまずやるべきこと
集団遊びの場で子どもが友達に手を出してしまい、ヒヤヒヤしてしまうことはありませんか?
今回は元保育士の立場から、すぐに友達に手が出てしまう子が穏やかに遊べるようになるために、必要な対応についてお伝えします。

気まずい…何度も叱っているのに
児童館や公園など、大勢の子が集まって遊ぶ場では、子ども同士の物の取り合いや場所の取り合いが、たびたび起こります。そんな時、言葉が未熟な子ども達は、友達を押したり、叩いてしまうことがあります。その際に叱られたり、相手を泣かせてしまう経験を重ねてだんだんと落ち着いてくるものなのですが、どんなに叱っても繰り返す場合、親としてはどうしたらいいか迷ってしまいますね。気づけばまわりに謝ってばかりで外に出るのがイヤになってしまった…というママやパパの声も聞きます。
そのような状況から抜け出すには、子どもとの関わり方にちょっとしたコツが必要だと思います。保育の現場でもしていた子どもへの対応をお伝えするので、参考になれば嬉しいです。
繰り返し友達に手が出てしまう子への対応
まずはひとり遊びの時間と場所を確保
繰り返し友達に手を出してしまう子は、まわりの子に対してかなり敏感になっていると思います。子どもが近くにくると、「遊びの邪魔をされる」と構えています。また、友達がそばに来ると、それまでひとりで使っていた場所やおもちゃを、親に「貸してあげなさい」と言われる可能性があることもわかっているのかもしれません。ピリピリしている気持ちが落ち着くように、まずはじっくりと満足するまで遊ぶ時間や場所を確保してあげましょう。
一度大勢の場に行くのをやめて、ひとり遊びができる場所で遊ぶのもいいですし、人数が少ない時間帯にいつもの場所に遊びに行くのもいいと思います。
子どもの気持ちを受け止め尊重する
気のすむまで好きな場所やおもちゃで遊べて満足できたら、少しずつ友達との関わりをもつように戻していきます。その際、友達におもちゃなどを「貸して」と言われたら、本人の様子と相談するようにします。本人がまだ夢中で遊んでいるのなら、「ごめんね、遊び終わったら交代するね」と親が代弁します。
まわりの目を考えると、ちょっと気まずいかもしれませんが、子どもの集中力はそんなに長く続きません。親が自分の気持ちを尊重してくれることがわかると安心して遊び、意外とすぐに飽きて違う遊びに移ります。その時に、友達に「いいよ」ができた方がスムーズで、お互い気持ちよく貸し借りができます。子どもの気持ちを受け止め、「無理に貸さなくていい」状況を親が作り出してあげることが大切です。
安心するように繰り返す
「ひとりで気が済むまで遊ぶ」「親が自分の気持ちを尊重してくれる」この経験を繰り返すと、友達がそばにきても身構えなくなってきます。意地になることもなくなり、その時どうしても使いたいおもちゃ以外は快く友達に貸せるようになってきます。
そして、友達に「ありがとう」と言われるうれしさや、一緒に遊ぶ楽しさも味わえるようになっていきます。たくさんの子とかかわる中でストレスが溜まってきているな…と感じたら、ひとりでじっくり遊ぶ時間をもったりしながら、様子を見て穏やかでいられる時間を増やしていくといいと思います。
優しくされることで優しい心が育つ

年上に混じって遊ぶのもおすすめ
すぐに友達に手が出てしまう時には、ひと回り、ふた回り大きなお兄さんお姉さんに遊んでもらうのもおすすめです。年上の友達なら、「小さな子」として特別待遇で遊んでくれます。無条件にかわいがられ優しくしてもらえると、心のエネルギーが溜まり、それをマネするようにもなります。普段ヒヤヒヤしながらわが子をみているママやパパにとっても癒しの時間になりますよ。
年上の子どもがいる友達や親せきの家や、放課後小学生の集まる公園に出かけてみるのはいかがでしょうか。
ルールを伝える前にまずは寄り添って
集団の場で「みんなのものだから順番に使う」というルールを守ることや「相手の気持ちを考える」思いやりの気持ちを育てることはとても大切ですよね。でも、子どもの心の余裕がない時は、いくら教えても伝わりません。
子どもがピリピリしている時には、まずは親が気持ちを受け止めてあげることが必要だと感じています。例え集団のルールを破っているのはわが子だとしても、「まだ使いたかったのね」「イヤだったね」「悔しかったね」こんな言葉をかけて、まずは寄り添ってあげてください。そのうえで、ルールを受け入れられる心の余裕を作ってあげられるといいと思います。
自分の気持ちを受け止めてもらえる経験をした子は、少しずつ人の気持ちを受け止めることができるようになっていきます。ゆっくり少しずつ、優しい心を育てていきたいですね。