言うことを聞かない子にきつく叱るだけではダメ!見直すべきポイント3つ
子どもが言うことを聞かない時、ついきつく叱ってしまうことはありませんか?
私もわが子がが幼稚園児のころは、リビングで走り回る時に「いいかげんにしなさーい!」と叫んでしまった思い出が。まわりが見えなくなっている子どもにはそんな一喝が必要な時もあるかもしれません。でも実は、きつく叱るだけでは子どもは正しい行動ができるようになりません。それどころか、ますます言うことを聞かなくなり、親子関係にヒビが入ることも…。
今回は保育士としての経験から、子どもが親の言うことを聞かない時、見直すべきポイント3つをお伝えします。
きつく叱ってやめさせることが続くとどうなるの?
子どもが何度注意してもしてはいけないことを続ける時、またはしなければならないことをしない時、ガツン! ときつく叱ることで、親が思った通りに行動してくれるかもしれません。でも、それだと「怖いから行動する」だけになってしまいます。
子どもは「どうしてそうしなければならないのか」を理解しないままなので、親が見ていないところでは、正しいことをする子に育ちません。また本人が納得していないと、少しずつ反抗するようになり、言い返すようになってきます。そうするとさらにきつい言葉かけや、脅しの言葉を使うことになり悪循環です。

脅しの言葉は信頼関係を崩す
「そんなことするならごはん抜き!」「もう〇〇を買ってあげないよ!」などと交換条件で行動させるのは、「なぜそうする必要があるのか」が抜けた脅しの言葉です。怖がらせたり脅したりして子どもを行動させることが続くと、親子の信頼関係が崩れてしまうこともあります。
親が見直すべきポイント3つ
私が保育士としてたくさんの子どもたちと過ごしていた時も、先生の注意を聞き入れない子どもはいました。そんな時は、決まりを守れるようになるために、その子に響く言葉を考えて対応し、それと同時に信頼関係が築けるように関わっていました。
そうすることで、最初は注意の言葉に聞く耳を持たなかった子どもでも、だんだんと約束を守れるようになっていきます。自宅でも、そのように関われたら、親の話を素直に聞き、自分で考えられる子に育っていくのではないかと思います。
それでは、「その子に響く言葉」はどのように導き出せばいいのでしょうか。親が見直したいポイントをお伝えします。
ポイント1 物ごとの性質を理解しているか
まずはその子が、そもそもの物の性質が理解できているかということを考えみてください。
小さな子どもは、水はこぼれるもの、紙は破れるもの、ガラスや陶器は割れるものなど…いろいろな物の性質をまだ理解していないことがあります。
例えば、飲み物の入ったコップを持ってリビングを歩き回ろうとする子どもがいたとします。そこで「こぼれるからイスに座って飲もうね」と親が注意をしているのに、子どもはちっとも言う事を聞かない状況だとします。
その時、考えるべきは、「この子は液体はこぼしたら戻せないことがわかっているかどうか」。子どもだって飲もうとしていたものがなくなってしまうのは悲しいはずです。でも、液体の性質自体をわかっていなければ、「こぼれるからイスに座って飲もうね」と言っても伝わりません。
「こぼれる」体験をさせてみる
そのため、この場合はお風呂でカップにお湯を入れて遊んだり、外遊びでバケツに水を入れて遊んだりして、どの程度傾けるとこぼれるのか、こぼれるとどうなるのかなど、水の性質について体感する機会を作っていくといいと思います。そうした経験を重ねることで、「こぼれる」という言葉の意味が伝わるようになります。
ポイント2 失敗経験をしているか
それから、「失敗経験をしたことがあるか」ということも考えてみてください。
液体の性質自体は理解しているとして、次に確認したいのは、こぼしてイヤな思いをした経験があるかどうかです。いつも立ち歩いて飲み物を飲もうとすることを叱ってやめさせている場合、立ち歩いたせいで実際に起こるイヤなことは経験していません。
そこで、一度はこぼしてしまう経験をしてみるといいと思います。そうすると飲み物がなくなり、洋服が濡れてしまったり、床が汚れてしまったり…いろいろな困ったことが起きることを理解します。本人が起きるデメリットを理解することで、次からは親の「こぼれるからイスに座って飲もうね」という声かけに「そうだった!」と納得して応じることができます。また言われなくても自分で気をつけるようにもなってきます。
今回紹介したのはあくまで「飲み物」の例ですが、子どもが言うことを聞かない場面で、「この子が理解していないところはどこなのか」を考えてみると、わが子に必要な経験が見えてくるはずです。
これらをきちんと伝え続けることで、親に言われたからするのではなく、子ども自身がなぜそうすべきなのか理解して行動することができるようになるのです。それには、大きなケガに繋がることでなければ、失敗も大らかに見守ることが大切だと思います。
ポイント3 心の栄養は足りているか
物ごとの性質を理解していて失敗経験もしているのにもかかわらず、親の言うことを聞かない時に見直したいのは、心の栄養が足りているかどうか。
悪いことと充分理解しているのにそれを続けてしまうのは、イライラしていたり、親の気を引きたいという気持ちがあるからかもしれません。注意されたり叱ったりされてでもいいから「自分を見てほしい」と思っている状態です。
そんな時親は過剰に反応しないことがポイントです。代わりにいいことをした時にたくさんほめるようにしましょう。ほめられると心の栄養が溜まっていきます。さらにスキンシップの時間をもって心が満たされるようにしていけば、わざと悪いことをすることは減ってくると思います。
先回りせず、子どもの目線に立って考える習慣を
やっていいこと、悪いことを子どもが自身が理解するのは難しいことと感じるかもしれませんが、基本的には普段の遊びや生活の中で、「まずは自分でやらせてみる」ことが大切です。それをを続けていけば自然と身についていくことが多いです。なので自宅でも、普段から親が先回りして手をださないことを心がけてみてくださいね。
そのうえで、「注意しても全然聞き入れてくれないなあ…」と感じることがあれば、その子にとって足りない経験を見直してみるといいと思います。子どもの目線に立って考える習慣をつけ、きつく叱るのはここぞという場面だけにとどめていけるといいですね。