保育士だった私が親になって気づいたこと、先生に伝えたいこと

私の娘は現在、こども園の年長です。担任の先生が大好きで「私も大きくなったら先生になりたいの!」とこっそり私に言うようになりました。
以前、私は保育士をしていました。受けもった子どもたちにこのように思ってもらえるのはとてもうれしく幸せなこと。でも保育の仕事は子ども達との関わり以外にも保護者との関りも深く、保護者に救われること、また悩んだこともありました。


今回の記事では、私が2人の子どもの親となり、保護者の保育士に対する考え・要望が理解できるようになったからこそ気づいたこと、先生に伝えたいことを書きたいと思います。

※この記事は2021年あんふぁんWebに掲載されていたものです。

励みになったのは「信頼が伝わる言葉」

私は保育士として働いていた時、幸せなことに保護者からたくさんのうれしい言葉をもらいました。
保育士の仕事は楽しいことも多くありますが、落ち込むことも多いのです。思うように活動を進められなかった、先輩の保育士がいると子ども達が落ち着くのに自分の時は…、子どものケガを防げなかった、上司に子どもへの対応を注意されたなど。


ひとつのクラスにいろいろな先生が入るからこそ、ほかの先生と自分と比較して落ち込むことも。日々反省の繰り返しで、自信をなくしそうになることもあります。


そんなとき、救われるのは「うちの子、先生のことが本当に大好きなんです」「先生がいると喜んで園に行きます」といった保護者の言葉。自分を信頼してくれる子どもや保護者の言葉はすごく励みになりました。

救われたのは「理解や努力を認める言葉」

私が何より落ち込むのは、保育中に子どもがケガをしてしまったときでした。
特に0、1歳の子どもは転んだりぶつけたり、友だちへの噛みつきや引っ掻きなどの事故が頻繁に起こります。保育士には、子どもの行動を予測して事故を防ぐことが求められます。

小さな傷や赤みだとしても「たいしたことないケガだから」「子どもが自分でやったこと」などと思うことはありません。日々、ケガをしないための環境設定、言葉かけ、さまざまな配慮をしなければなりません。
けれど、どんなに気をつけていてもケガをしてしまうことがあります。そうすると園では事故に関する報告書を書き、今後の改善策を考えます。そして保護者には状況説明と謝罪をします。


そのとき多くの保護者は、「少しくらい大丈夫ですよ」「家でもよくありますよ」とこちらの配慮に対して理解ある言葉を返してくれていました。もちろん大切なわが子がケガをして平気なわけがありません。それでも保育士自身が反省し、きちんと監督できなかったことを悔いていることを気づかってくれたのだと思います。


保護者からの優しさに感謝して、気持ちを立ち直し、「もっと気をつけよう」と思うことができました。

保護者の要望に応えられず落ち込むことも

園生活の中にはたくさんの決まりがあり、「もっとこうしてあげたいな」「こうしてあげればもっとこの子のためになるのに」と思っても実行できないことがあります。
ある保護者にこのように言われたことがありました。「夜なかなか寝ないので、お昼寝を短くしてください」「それができないなら、散歩の時間を長くしてください」。
一見ちょっとした要望に感じるかもしれません。しかし、その時の保育の現場を考えるとそれはとても困難なことでした。

例えば、子ども達のお昼寝の時間には、連絡帳や書類の処理があります。ひとりだけお昼寝を短くすれば、ほかの子も気になって起きてしまいますし、そこに見守る保育士が必要になります。


また散歩に出るときは、安全の確保のため、引率の保育士の人数が決まっています。そのクラスでは、どう工夫しても、長く散歩に出かけるための保育士の人数を確保できず、まだ体力の未熟な子もいるので長い時間戸外にいられる状況ではありませんでした。


そのことを伝え、室内での運動遊びの時間を増やすなど、その時できる対策はできる限りしました。けれどその保護者は納得してくれませんでした。毎日のように「今日も寝るのが遅くなった」「もっと外に出たくてストレスが溜まっています」と言われる日が続きました。

その後、少しずつ状況は改善しましたが、数か月間は自分のできないことばかりに気持ちが向いて悩む日々でした。

一生懸命な保育士ほど悩みがち

保育士や幼稚園の先生は資格を持った保育のプロではあるけれど、不安や葛藤を抱え反省を繰り返しながら、子どもと向き合っています。それでも安心してもらうために、いつも笑顔で子どもや保護者の前に立っているのです。
「子ども達のためにもっといい先生なりたい!」「子どもや保護者を助けたい!」と一生懸命な保育士ほど悩みが多く落ち込むこともあるのかもしれません。
だからこそ保護者のひと言に救われることは多いはず。そのひと言が保育士のやる気と笑顔を育てているのだと思います。

今回、保護者の立場になってから以前のことを振り返ることで、私も娘の担任の先生に思いを伝えなければ!と思いました。今度お会いした時に、「娘が先生のような保育士になりたいって言ってます。先生のことが大好きなんです!」と声に出して伝えようと思います。
ママやパパのひと言は先生にとってとても大きな意味をもちます。保護者と先生がよりよい関係を築くためにも、力や支えになるような言葉をかけていきたいと思います。

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